「もしかして、山田のこと狙ってるの?」
ユッキーは、違う違うと言ったけど、体全体で照れていた。
「そうか。山田か~」
「陽菜ちゃん、誰にも言わないでね」
「もちろん!!」
ユッキーは、1年の頃からサッカーしている山田にひそかに憧れていた。
でも、話す機会もなく3年になり、こうしてチャンスが巡ってきたのだ。
山田にはもったいないくらいの美少女。
本当にもったいないなぁ、なんて考えていると、噂の山田悟が近づいてきた。
「佐藤、今日優雅がカラオケ行こうってさ」
「カラオケぇ~??そんなの初めてじゃない?」
「もうすぐテスト前になるし、その前にストレス発散しようって言ってたけど」
山田は、ユッキーがいることに気づいていないくらいに私しか見ていなかった。
「山田!!ユッキーも一緒にどうかな?」
いきなりそんなことを言われて、戸惑うユッキー。
「え?えええ??」
「ユッキーって誰だよっ」
山田は不機嫌そうにそう言った後に、ユッキーに目を向けた。
「あ、川上さんのこと?」
山田はユッキーの名前を覚えていた。
そのことに小躍りしそうになる私の横で、ユッキーは顔を赤らめた。
バレバレだよ、ユッキー……