高校に入学してから3年も経ったとは思えない。
何もわからず高校に来て。
亜沙子に出会い、そこから劇的に変わった私の人生。
恋を知った。
役所で働く男性に恋をした。
教室の窓からいつも見つめていた。
あくびをする姿。
背伸びをする姿。
ピンクのネクタイ。
コピー機の前では、いつも眠そうな顔だった。
携帯灰皿でたばこを吸う姿を見てから“灰皿王子”と呼び始めた。
亜沙子と私の秘密ノートに、王子の情報を書き込んだ。
留学から帰ってきたプリンス優雅。
サッカーバカ山田。
いろんなことがあったけど、本当に楽しかった。
亜沙子がいなければ、こんな楽しい日々はなかった。
きっと、王子とも付き合えていない。
こっそり見ているだけの片思いで終わっていたと思うんだ。
すべては亜沙子のおかげ。
亜沙子と出会えたことがこの高校に来た一番の奇跡だ。