しばらく、ユッキーと話している王子。
ユッキーは、最初笑顔だったけど、そのうち沈んだ表情になっていく。
そりゃそうだ。
キスできると思っていたんだもんね。
私は、王子だけじゃなく、ユッキーも傷つけた。
王子に手招きされて、私はトボトボとふたりの元に近付いた。
「ユッキーから話があるらしい」
王子の低い声。
額から汗が落ちる王子。
真剣な表情の王子と目が合う。
「俺から話したから。俺は、好きじゃない子とキスなんてできないし、そんなキスは意味がない。俺がもし陽菜達と同じくらいの年齢だったらもしかしたらOKしたかもしれない。だから、陽菜達の考えたことを責めることはできない。まだ、若いから」
まだ若い。
その響きの中に、“まだ子供”って意味が含まれているように感じてしまった。
王子は、やっぱり大人で。
私達よりもたくさんの恋愛を経験していてさ。
もちろん、考え方も大人だし、いろんな意味で大きい。