「陽菜は、まっすぐ過ぎるから。ユッキーのことだけ考えて出した答えだと思う。でも、しっかりしろよ。陽菜の気持ちはどうなるんだよ」
こんなときに、ときめいている場合じゃないんだけど。
王子の言葉に感動して、改めて惚れ直している私がいた。
“1回だけならいいよ”なんてアッサリOKされるのも、辛かった。
じゃあ、最初からそんな約束しなければ良かった。
「俺から話してくるから。陽菜はそこで待ってろ。説教はその後じゃ」
スッと伸びた背筋。
大きな背中を見つめながら、自分のしようとしていたことが間違っていたんだと反省した。
正しいなんて思っていなかった。
でも、王子の言葉で目が覚めた。
私、おかしいよ。
王子の唇は王子のもの。
どうして、私が“1回だけOK”なんて言えるんだろう。
そんな権利ない。