「1回だけでいいの。それで、王子のことあきらめてくれるって約束したんだ」





本当は嫌だ。



眠れないくらいに嫌だった。




王子は私の彼氏。



1回だけだって、嫌だ。







「何、勝手に決めてんの?俺って何?お前、勘違いしてない?」




にらむ王子。





「俺は俺なんだよ。陽菜の持ち物じゃねーんだよっ!!」







こんな怒った口調は初めてかもしれないと思った。




悲しそうな表情。






「俺のキスであきらめるって言われて、はいそうですかってOKしたの?バカじゃないの?」






冷静に考えると、その通りだ。




バカだ、私。