「電話しなくてごめん」
低い声。
「私こそ、勝手に逃げてごめんなさい」
「反省しているならよろしい」
王子は、そう言って車を走らせた。
「勉強は大丈夫なのか?時間は?」
「今日は、遅くなっても平気です」
お母さんには亜沙子と勉強って言ってある。
「ホテルでも行くか」
冗談だってわかっているのに、返事ができずに真っ赤になる私。
「バカじゃ~!陽菜は」
頭を掴まれる。
「何か不安なのか知らないけど、そんなに俺が信じられないならエッチでも何でもしてやるよ」
ちょっと怒った風な口調で王子はそう言った。
そして、私をチラッと見て
「どうすれば、信じてくれる?」
と真剣な表情で言った。