「王子じゃない?」





私が王子を見つけると同時に亜沙子が私の右肩をコツンと突っついた。





「ドキドキする!」



「行ってこ~い!!」





亜沙子は、私のお尻を力強く押して、その場から離れた。





ありがとう。亜沙子。



大好きな最高の親友。



勇気をくれた人。







「王子っ!!」




思いっきり無理をして、元気な声で呼び止めた。



この場所で最初に声をかけた日を思い出す。





「ん?」



振り向く王子の顔。



缶コーヒーを片手に持ち、不思議そうに私を見た。





「え?陽菜?」




名前を呼んでくれた。



ただそれだけで嬉しかった。