「で、どうしたの?」
笑い終えた亜沙子が冷静に私に言う。
「実はね。ちょっと前に、王子とユッキーが密会している場面に遭遇してしまったんだよね」
「は~?え?何、それ?」
正直な反応だ。
私だってそう思った。
「それから、王子ともぎくしゃくしていて。ユッキーとのことも聞けないままなの」
何度か電話で話したけど、私はちょっと元気のない声を出す程度で、いつも通りの対応をしていた。
王子に何か気付いて欲しくて、しょんぼりしてみるけど、そんなに敏感な人でもない。
気付くわけない。
会って話しているわけじゃないもん。
私のショックなんて伝わるわけないよ。