山田は、ペン回しをしながら、チラチラと市役所の方を見ていた。
自慢げにペンを回す山田にイラっとしたけど、まあいいや。
「てか、さっきからお前の彼氏がこっち見てるけど」
「え??嘘?マジ?」
私は、市役所に視線を向けた。
「あ~!王子だぁぁぁ」
コピー機の前で伸びをしている王子がこっちを見ていた。
わざとらしく大きな伸びをして、顔はにっこりと微笑んでいた。
「朝からラブラブだね、陽菜と王子は」
「えへへへへぇ」
気持ち悪い笑い方をするなと山田は私の頭を叩く。
それを見た王子は・・・・・・
「山田ぁ~、王子怒ってるよ!」
怖い表情でにらんでいるようだった。
王子は、高校生じゃない。
この校舎にはいない。
だけど、こうして姿が見えるし、いろんな想いを共有できる。
だから・・・・・・寂しくない!!
好きな人の働く姿が見られるなんて、幸せなことだもんね!!