少し行くと人の
背中が見えた。
「っ!
殿っ!!」
「!?
モエ…!?」
殿が振り返って
あたしにかけより、
ゼイゼイ言ってるあたしの
背中をさすってくれる。
「こんな暗いのに
どうして1人なんだ!
危ないだろう!」
「だ、だって…
殿に…会える、かもって…
思った、ら…はあ、はあ…」
「…ばかやろう。」
殿はそれ以上
何も言わなかった。
ただあたしの背中を
無言でさすってくれて、
あたしもようやく
呼吸を落ち着かせる。
「殿…
ごめん、あたし…
殿のこと待ってなくて、
本当にごめん、なさい」
「それならオレも…
約束、守れなかったな。
すまなかった」
少しの沈黙。
そしてどちらからともなく
微笑み合った。