「………え。」
とりあえず浴衣のまま
外に出ると、
あたしは言葉を失った。
玄関の前には
よく時代劇で登場するような
偉い人が乗るカゴ。
それを取り囲むように
付き人のゴツい侍が十数人。
「あなた、"モエ"ね?」
「え、あたし…?」
カゴの中から
聞こえたのは
女の人の声。
それと同時に
簾のようなものが
するすると上がり
中から人が出てきた。
「ふうん、
あなたが幹成様の…」
「わっ…!」
つい感嘆の声が
出てしまった。
あたしの目の前に
たっていたのは、
きれいなお姫様だったから。
化粧や服装で
着飾ってはいるけど、
あたしと同い年
くらいに見えた。