あたしは殿の浴衣を
そっと出した。
「じゃじゃーん!
見てよこの浴衣!
かわいいでしょ!?
殿がくれたんだー。
これ着て殿と
夏祭り行くの!」
「…………へえ。
良かったじゃん」
「ん?
モスケ今なんか隠した?」
「別に。」
「ふーん?
ま、いっか。
あたしね、モスケのこと
弟みたいに思ってるの!
だからモスケと話してると
兄弟が出来たみたいで
楽しいんだ!!」
「…はいはい!
オレは仕事に
戻りますから~」
「え~なにその反応!
かわいくなーい」
モスケは後ろ手を振りながら
畑に向かった。
そんなモスケの顔が
なんだか寂しげに
見えたのは…
きっとあたしの気のせい。