「殿ありがとっ!!
これすっごいかわいい!!
今日の買い物ってこれ?」
「…………」
「…殿?」
「あ、いや、すまん。
もともと買う気は
なかったんだが
それを見たら絶対
お前に似合うと思って…
何も考えず勢いで買ったけど
買って良かったよ。
いい笑顔もらえたから」
「…よくそんな
恥ずかしいこと
さらっと言えるね」
「思ったことは
言った方がいいぞ?」
でも浴衣で祭かあ…!
これって超女子高生!!
あたしは殿からの
浴衣をギュッと抱きしめる。
「そんなに嬉しいのか?」
「うん!!
あ、雨上がった!」
「じゃあ帰るか。
トマトも見に行かなきゃな」
穏やかな顔で笑う殿と
喜びを隠せないあたしは
二人並んで歩き出した。
他愛ない話をしながら
歩くあたしたちの上には
きれいな虹がかかっていた。