「モエ…」
熱っぽい視線と共に
名前を呼ばれ、
二人の視線は再び絡み合う。
この世界に二人しか
いないような錯覚に
陥ってしまいそう。
「夏祭り…行かないか?」
「なつ、まつり…?」
「城下町で毎年
やってるんだ。
お前いつも働いてるだろ。
たまには遊んだ方がいい」
殿…
いつも暇潰しに
来ているだけのようで、
ちゃんとあたしのこと
心配しててくれたんだ。
そんな殿とお祭り…
行きたい!
けど…
自分の身なりと
殿の格好を見比べる。
「あたしと殿じゃ
つりあわないよ…」
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