雷が苦手なわけではないが
あまりの音の大きさに
体がビクリと反応する。
「怖いのか?
こっちに来い」
「べ、別に怖いわけじゃ…」
「いいから。」
吸い込まれるように
殿の元に近づく。
しかしあと1歩のところで
ふと思い出した。
昨日の出来事を。
そういえば
時代劇とかの殿様って…
『くるしうない、
くるしうない。
ちこう寄れ』
『あーれ~~~』
「…………」
「モエ、どうした?」
「い、い、言っとくけどね!
殿様みたいな人は
女をただの子作りの
道具としか思ってなくて
欲求にまかせてとか
ただ体目当てで…とか
近づいて来られても
こっ!困るんだからね!!」
半ばパニックで
あたしが言うと、
殿は少しポカンとして…
気づくとあたしは
殿の腕の中にいた。