―――――…
「…よし!
全部買った!」
「ったく何かと思えば
買い物かよー」
「確かにこの量じゃ
荷物持ちはいらなかったね」
ほんとだよまったく…
なんて言いながら
あたしが持ってた荷物を
ひょいと持ってくれる。
いつもバカにしてるモスケが
急に男の子に見えて
少しドキッとした。
「うわっ
まじで軽い。
枝豆100個分くらい」
「何その比べかたっ!
おっさんみたーい」
「おっさんだと!?」
あ。
ふと、店先に並んだ
かんざしに目がとまり、
モスケを無視して
立ち止まる。
かんざしの目の前に
しゃがみこんで
まじまじと見つめてしまう。
そういえば最近
おしゃれとか
遊びに行ったりとか
高校生らしいこと
何にもしてないもんなあ。
…この赤いやつかわいい。
ひょい。
ふいにあたしが
気に入ったかんざしを
誰かが手に取った。