「………」
「………」
お互い何も話さない。
少なくともあたしは
口を開くことが
できなかった。
顔の横にある
たくましい腕。
あたしの体をはさむ膝。
体全体が殿に
包み込まれてるような
感覚に陥る。
心臓はバクバク。
頬が熱い。
「と、殿…?」
やっとの思いで
呼びかけたが
殿はどいてくれない。
それどころか、
いつになく真剣な表情で
ゆっくり近づいてくる。
あたしはというと
まるで体全部が
心臓に支配されたように
思考が止まって
しまっていた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…