「"とまと"か…。
すごくみずみずしくて
酸味もあって
実にうまいぞ!
モエ、ミライとゆう国から
この国にとまとを
分けてもらうことは
できないのか?」
「あ~…
それはちょっと
難しいかな…」
「そうか…」
殿はあからさまに
しょんぼりする。
身長180センチは
あるであろう男が、
首を垂れて落ち込む姿は
何とも滑稽で、
ちょっとかわいい。
「あ、でもあたし
苗木買ってきたから…
ここの畑ちょっと
使わせてくれれば
また育てられるよ」
「本当か!?
なら早速今日から育てよう!
あ、でもオレはそろそろ
城に戻らないと
怒られてしまうから、
種はモエがまいといてくれ!
モエはしばらく
この家に世話になればいい!
な!?いいよなおばちゃん!」
「ええ、構いませんけど…」
「よし!
決まりだな!
じゃあ明日また
様子見に来るから!
またな~!!」
殿はキラキラした
笑顔を残して
林の方に走っていった。
そして萌絵は
とりあえずの宿を
得たのであった。