王麗家は江戸時代からの歴史がある。



江戸の初期にわざわざやってきた初代王麗家当主、
(当時は“王”という名字だったらしい)は日本にいたく感動し、
ここから中国のものを広めたいという気持ちで、貿易業を始めた。



明治に入り、鎖国が廃止され、貿易の自由が認められるようになってからは、
日本でもかなり有名な会社に発達したらしい。

(まぁこの時代既に会社という言葉があったかどうかは不明だけれどね)


そして最初に始めた小さな貿易会社は徐々に大きくなっていって

今では世界にも社員を抱える程になっていた。



あたしはこの“王麗”という名字が小さい頃から気に入らなかった。

変わった名字だし、周りの人達とは違う、このへんてこな名字を好きになれず、
お父様とお母様に何度か名字を変えたいと願い出た事もあった。


だけどその度に二人はあたしに教えてくれたんだ。


“自分の名字に誇りを持ちなさい、未華。いつかこの名前で良かったと思う時がきっと来るわ”

と。