ただ一人の男子生徒会役員の、長岡くんは、それはそれは会長と副会長に、可愛がられている・・・おもわず、気の毒に思うほどに・・・。

 もちまえの笑顔で、二人の先輩の攻撃をかわしてはいるけど、さすがの長岡くんもときどき、笑顔がひきつってしまっている。

 先輩達の手作りお菓子攻撃・・・山盛り作ってきて、ぜんぶ食べなきゃ泣いちゃうとおどしたり・・・長岡くんは甘いものは大の苦手のようで・・・特に羊羹が嫌いだとばれてしまったときは黒板消しより大きな羊羹を手作りで作ってきて・・・、彼にむりやり食べさせたりしていた。

 男子の制服は地味だから、私がかっこよくしてあげると・・・会長が、袖や襟に、レースを縫い付けたときは、さすがの長岡くんも、好意はうれしいけど、断固きないといいはり・・・あやうく、無理やりに着替えさせられそうになったこともある。

 これは書記の相模先輩が、止めてくれたんだけど・・・。

 先輩たちは、可愛くて、可愛くて、ついいじめたくなるっていうんだけど---耐えきれなくなった、長岡くんが生徒会やめちゃわないか・・・私は時々、心配になる。

 先輩達はそれはそれは優秀な人たちなんだけど・・・ちょっと個性的すぎるというか・・・。

 私も、ちょっとまえ、無理やりメイド服、もちろん手作り、を着せられそうになったことがある。

 これも、相模先輩が止めてくれたけど・・・。

 暴走しがちな、会長副会長を、うまくコントロールしている相模先輩が実は、影の会長ではないかと・・・思ったりもする。



「・・・なにか考えなきゃいけないよね」

「うん、そうだよね」



 お互い、見つめあって、自然にため息。

 案を出さなければ・・・しかも、いい案を出さなければ・・・なんだか、怖いことになりそうな気がする。

 でも・・・先輩達の気に入りそうな案なんて、そう簡単に思い浮かばない。