「え、あ、その」



 直球できかれて、しどろもどろになる。

 頬が熱くなってく。きっと、顔が赤いはず。

 佐藤くんは腕を組んだ。



「ほんと、かわいい。

 でも、さっきの福田さんは、切なそうで、さみしそうで・・・思わず、手を伸ばして
ぎゅって抱きしめたくなった」

「え!」




 佐藤くんが両手を広げたりしたから、思わず、後ずさってしまった。

 廊下の冷たい壁に背中があたった。

 佐藤くんが吹き出した。

 顔の前で、手を振る。



「しない、しないって。そんなことしたら、海老原に八つ裂きにされて、埋められる。

 恋愛では、勝ち目ない勝負には出ない主義だから」