実は、手紙を渡してから一度も、彼に会っていない。見かけてもいない。
真面目なコーハイのことだから、すぐに返事をくれるだろうと思っていたのに。
――だいぶ、怒っているのかも。
『後輩君、なんでそんなに怒ってるんだろうね』
「…さぁ」
『だってさ、別にほんの冗談で、言っただけでしょ?それに、後輩君は夏香の性格を十分知ってるんだし』
「…たぶん、ね」
『…後輩君、夏香のこと、好きなんじゃないの』
「は?」
それはきっと…ない。
コーハイは、
“センパイである”あたしを、慕っているだけで。
…そういう、目では見てない。