『そうそう、3年の新木先輩って、野坂先輩と付き合ってたらしいよー』
『え!うそ!』
『校舎裏で、仲良く話してたりしてたんだってー!』
『うわー、ラブラブじゃん』
『でも、別れちゃったんだって』
『なんでだろうね』
『さぁ…』
そうだ。
そんな噂なんて、もう何回も聞いた。
信じたくないけれど、きっと本当だ。
センパイにのめり込む人は、多い。絶対に。
―だってセンパイには、人を惹きつけて離さない、魅力があるから。
『ねぇ、砂原くんも野坂先輩の噂、知ってるでしょー?』
「…まぁ、ね」
『野坂先輩って、綺麗だよねー!』
「…あぁ、うん」
ついさっきセンパイと話したという、クラスメイトの百瀬は、相変わらずのハイテンションで、喋り倒した。