「依頼で悪魔を狩ることもあるけど今は行方不明になった人間達の捜索。」

人間の男は木に吊るされている人間だけを木から落としていく。
「悪魔も捕まってるけど助けなくていいの?」
無感情な声で男が尋ねる。
「私たちは人間と同じような思考回路はしてないのよ。」
アフストイが答える。

人間の男はライアスを見た。
「恩を売る気はないけどありがとうの一言もなし?」
「ありがとう?」
耳慣れない言葉だ。ライアスは思案する。
「感謝の言葉なんだけど。」
「感謝ってなんだ?」
男はため息をついた。
「本当に考えてることが違うんだな。」
「悪魔風に言えば借りができた、だな。」
ドリウスが補足する。

「悪魔狩りのおっさん。」
「さすがにおっさんと言われるほどのトシじゃないんだけどね。」
ライアスは男の答えを気にせず訊きたいことだけを訊いた。

「俺は狩らなくていいのか?」

「人間に悪さしない限りは狩らない。それに…」
男はアフストイを見る。
「その悪魔はだいぶ強いし。依頼されない限りは相手したくないね。」
アフストイは無言だったが当然といった顔をしている。

「結構人間が迷い込んでる…。」
「そうだな。なんでだ?」
ライアスは男に尋ねる。
「魔界と人間界はそんなに離れてないってこと。この森は魔界と人間界の境目が曖昧なんだ。」

「人間界…。」

『魔界中を飛び回って探すか、人間界で楽しんでる悪魔を探しだすか、どちらかだな。』

ノアはそう言ってなかったか?
ドリウスはライアスの考えを察したのか、人間界に行くと言い出す前に声を出した。
「とりま次のを探さないと。」

ライアスは我に返る。
「そうだな。おい人間。」
「イブナクだ。」
「人間界に悪魔がいたら教えてくれ。どうせ悪魔狩りでこの森をうろついてんだろ?」
「別にいいけど…。」

「じゃ、そゆことで。」
アフストイがライアスの翼を引っ張る。
いつの間にかドリウスもアフストイも翼を出していた。
2人が飛び立つ。

「イブナクまたな!!」
ライアスはイブナクに適当に手を振ると2人の後を追った。