「『仲直り…?』」
普段あまり使わない頭をフル活用させて考えたら、案外あっさり答えが出た。
その答えは、すごく月夜らしくて…ちょっと笑えた。
いつもは冷たすぎるほどクールで、その俺様的なところが女子にウケてるあいつだけど、本当は優しいやつなんだぜ?
優しくすることにも、優しくされることにも、慣れてなくて。
自分自身を悪魔だとか思ってるみたいだけど、自覚してないだけで、人一倍、人を思いやれるやつなんだ。
あいつのその優しさを無駄にするわけにはいかないよな。
仲直りつったらやっぱ……
「仲直りの握手っ!…と、その前に。」
差し出した手を引っ込めて、浮かべてた笑顔も消す。
「誤解を解いておかないとな!」
ただ仲直りするだけじゃ、きっと何も変わらない。うわべだけの関係になるに決まってる。
あの日俺が言った言葉が、姫梨を傷つけた。ならせめて、その傷を少しでも癒してやりたい。
本当のことを知ったら、もしかしたらあいつは自分を責めるかもしれない。そしたら、それは違うと説得すればいい。
きっとこれが、最善の方法。