「………」
皆の視線が涼子に集まる。
だけど何も喋らない。
「言ってくれる?」
子供をあやす様に優しい言い方をする竜也。
こう見えても長男らしく、子供をあやす様のは、得意らしい。
涼子の顔色が変わった。
多分もっと追い詰められると思ったんだろう。
「…あの……」
言おうとしたんだと思う、だけど…
「ぜぇ…ぜぇ…はぁ…」
呼吸の仕方がおかしい。
「和!吸入器!」
勇作の言葉で跳ね上がる様に立つ。
「はい。」
鞄から出した吸入器を差し出す。
「涼子ちゃん…大丈夫…はい、吸って……吐いて……」
段々落ち着いてきた様だ。
「和…涼子ちゃんじゃなくて、侑に聞こ?」
真剣な顔で振り返る勇作が言う。
多分聞き出すのは不可能だと感じたんだろう。
「寝よっか…」
勇作が、涼子を寝室に連れて行った。


勇作が帰ってきて、侑に連絡する事にした。
「…………出ない。」
電話をかけても出なかった。
メールを、する事にした。
その時。
「和……侑…まさか。」
俯きながら言う恭平の後を察した様に、竜也が、目を見開いた。
「侑、涼子ちゃんを助けに行くって言ってたよね?……涼子ちゃん、助かってないって事は…」
竜也の言葉で、勢いよく、走り出す。
もちろん、変装なんかしてるはずもない…皆それぞれのパーカーなどで隠す。
携帯を見ると7時…メールがきた時…あれから3時間は立っている。
“やばい!”
学校に着き、中を探す。
体育館倉庫に、たどり着いた。
「もう、いじめるなって?……意味わかんねぇよ!これから今日見たいな事なんで、序の口に、なるんだよ!」
倉庫から聞こえる声。
笑い声も聞こえる。
言ったん皆の足が止まる。
でも……
「いくぞ!」
掛け声を合図に中に入る。
ガラッ!
「誰だ!」
声からして、女子だ。
「侑は、何処だ!」
「ねえ、この声って…和也くんじゃない?」
俺の出した声で女子にバレた。
そんな事は気にもせず、侑のいるところへ走る。
男女20人くらいは、居るだろう。
勇作が、出入り口の扉を塞いでいたため全員この、倉庫にいる事になる。
侑は、殴られた後が痛々しく残る顔で。
「涼子…ちゃん…は?」
っと弱々しく言った。
「大丈夫だっ!、それよりお前は…」
俺の言葉を無視して侑は、続ける。
「俺、涼子ちゃん、が出て行ったあと…またここに連れて来られた…で、涼子ちゃんが、いじめ…いや、暴行を受けてる、映像を見せられた…それで……はぁ…はぁ…」
今にも消えてしまいそうな声。
「わかった。わかったから、ビデオってあれか?」
近くの女子が、持っていたのを指差す。
侑は、頷きそして、気を失った。