バタンッ
玄関の扉が閉まる音で目が覚める。
「え……?」
とりあえずリビングに向かった。
テーブルに紙が置いてあった。
「“今日、新曲発表で、ニュースに出るから行くね。出るのは7時ぐらいだから、見て見てね!”……そうなんだ」
やっぱり、アイドルなんだな、って実感する。
時計を見ると、5時15分もう一回寝る事にした。


ピピピピ
目覚ましの音で目が覚めた。
6時55分…
「あっ!!」
急いでリビングにに向かい、テレビをつける。
『それでは、ゲストでKAMINZさんです!』
和也さん達が、きっちりメイクを決めて出てきた。
『今日は、新曲2曲を生放送ってことで。』
『はい。そうですね。』
和也さんが、応える。
ファンの子達の黄色い声が聞こえる。
『では、KAMINZで、勇気、STAR、です、どうぞ!』
セットに画面が移り、五人が照らし出される。
はじめは、勇気、のようでホワッとしたセットだ。
勇気が終わり。
少し薄暗いセットに変わる。
いつも、朝が弱いっと言っている皆もテレビの前では別人だった。

終わったあともずっとテレビを見ていた。
なんとなく頬を触る。
「え…?」
頬は濡れていた。
やっと我に帰り時計を見る。
「7時30分……っやばい!!」
急いで置いてあったご飯を食べ、着替える。
涙を洗い流す様に、水でバシャバシャ顔を洗う。
「っよし!」
頬を叩いて気合をいれる。
その時。
ピーンポーン
「え…?」
時間がなかったので、鞄をもって、玄関に向かう。
ガチャ…
!!!!!!!!!!
「よっ!」
そこには、右手を上げて立つ侑くんの、姿があった。
「なんで?」
「外で待ってたけど来なかったから。……それに一人で教室入るの嫌だろ?」
多分昨日の様子を見て、気遣ってくれたのだろう。
「ありがとう…」
俯いて外に出る。
「じゃっ!行こうぜ!!それにしても昨日のKAMINZの、新曲よかったよな~明日発売で、俺予約までしたんだぜ!」
っとニコニコして言う。
PVの中の私を見たらどう思うんだろう。
私、ってわかってくれたら、これから仕事でなかなか来れないことを言おう。
そんな事を考えている間に学校に着いた。


ブルブルっ、手が震えてる。
ギュッ!
侑くんが、無言で私の手を握る。
ガラッ……
扉を開ける。
侑くんは、おはよーっと入って行った。
それを見送っていると。
「ねぇ、山田さん、ってKAMINZのPVに、出てたよね?……今日テレビで少し流れてるの見たんだ。」