先生指差した先を見ると、男の子が、手を降っていた。
侑くんの、横の席に着く。
「よろしく…」
ちょっと控えめに言う。
「よろしく!」
でも、侑くんは、笑顔で返してくれた。

次の放課。
「ねぇ、涼子ちゃんだっけ?、涼子ちゃんって、水上涼子?」
ビクッ!
体が反応する。
「やっぱ、そうなんだ。ねぇ…なんで、苗字違うの?」
「…………」
「私らさ、あんたの事知ってるんだ。あんたの前の学校の奴らに聞いたから。」
「っ…!」
髪を引っ張られる。
また、前の学校みたいになるのかな?
「なぁ、喋れよ、」
髪を引っ張っている、子が、手を振りかぶる。
殴られる!
パシッ!
痛く…ない。
「え…?」
顔を上げる。
「なあ、やり過ぎだよ、まだ転校して来たばっかだし。やめたれよ。」
聞き覚えのある声。
「なに~侑、こいつの事好きなの?まぁいいけど、」
そう言って女の子達は逃げて行った。
侑…助けてくれたのは、侑くんなんだ。
優しいな、前の学校では、そんな子一人もいなかった。
「大丈夫?」
さっきの低かった声とは違って、明るく、でも、真剣に聞いて来た。
「あ…りが…と……だけど、私といない方がいいよ?」
迷惑はかけられない。
「嫌だ!」
力強い声。
「え…?」
ぐいっ!
侑くんは、私の耳に、手を当てこそっといった。
「今日、連れて来たいとこあるんだ、放課後、正門のとこで待ってる。」
「え?」
キーンコーンカーンコーン…
私の声は、かき消された。


放課後。
約束通り、正門に行った。
「あ!涼子ちゃん!」
手を降って走って来た。
「あ…」
「来て!」
そう言って私の手をとって歩き出した。