メイクが、終わって出てきた涼子は、すごい姿だった。
ボロボロの、制服、蹴られた後のように、靴後がついている。
「涼子ちゃんは、いじめられている、っと、いう設定で、歌詞を語りかけるっというものです。…では、配置に着いてください。」
初めの歌い出しは、俺だったので、スタッフに、学校裏のセットに案内された。
「和也さんは、ここら辺を、散歩しているっという事で、誰かの泣いている声が聞こえ、探しに、来るっという伴奏の、シーンをまず撮ってもらいます、和也さんは、好きなように、やってください。…では、……3.2.…スタート」
俺は、街中を歩く、すると、何処かから、泣いている声が…
その声の主を探す……
「……カット!!よし、じゃ…歌詞を語りかけるシーンです、……では、……3.2.…スタート!」
スタッフが、焦っているのか、妙に、テンションが高い。
俺は、涼子の方に手をかけ、歌詞を口ずさむ。
涼子が、顔をあげる…
!!!!!!!!!!
素人とは、思えない、役になりきっている…
まだ、リハもやってない、声が出せないから、表情だけで表現するのが難しい、PV撮影……それも初めてでこれは…
スタッフを、チラッとみる、涼子の演技に唖然としている。
涼子顔は、不安、絶望で満たされていた。
多分、俺の事を、いじめっ子っと、思ったように自分で設定しているんだろう。
肩に触れた時に、小さくビクッと反応した意味がわかった。
「カット…」
スタッフが、こんなに、同様しているのは、見た事がない…
「あの…良かったですか?」
涼子が、スタッフに、そっと聞く、多分機嫌が悪いように見えたのだろう。
「す、凄いな……あなたは絶対売れる!…凄いよ、表現で、あんなに表現できるなんて。」
少し、興奮したようにいう。



全員の、シーンが終わりみんなで出来上がったPVを見る。
それは、PVと、言うよりも一つの話になっていた。
「う……うぅ……」
恭平が、泣き出す。
普段、幼稚園児の、ような恭平でも、根はある。
だから、みんなの前で、本心の涙を流すのは、初めて見た。
スタッフからも、鼻をすする音が聞こえる。
PVが終わる。
「す、凄い…歌だけでも、充分泣けるだけの内容があるのに…これは、凄いPVが、できたぞ…」
っと、監督が言う。
その言葉に、ホッとしたのか、涼子に、笑顔が戻った。
「STARの、撮影を明日に変更する。涼子ちゃんも来てね?」
「え?…私が?…」
返事を返すさず監督は、部屋から出て行った。
「明日、また一緒に来ようね!」
っと、不安で押しつぶされそうな、涼子の不安を吹き飛ばす様に言う。
すると、それを悟ったのか、笑顔でうん!っと言ってくれた。
俺に…気なんて使わなくていいのに…