その歌詞はどこか、おばあちゃんの話と似ていた。
何で…何でだろう…
この懐かしい感じ。
涙が…止まらない…止まらないよぉ…
ふわっ
優しい、手の中に包まれる。
和也さんの、心臓の音が聞こえるほど近い。
その手は、私に全てをくれた。
私はその手をギュッっと、離れないようにつかんだ。



今日は、ドラマの収録第一回目だ。
やっぱり緊張する。
なぜか、他のメンバーも様子を見に来ていて、もっと緊張する。
「大丈夫か?。」
やっぱり場馴れしているのか、場の空気を明るくしようと、スタッフに、一緒懸命話しかけている和也さんが、帰ってきた。
「撮影はじめまーす!」
スタッフの声。
「行こっ!」
そう背中を、優しく押してくれた和也さんも、緊張しているらしく、手が震えている。
「スタートまで!5、4、3、…」
カウントダウンが、始まる。
「何で 、なんでだよ!」
和也さんが、私の肩を揺さぶりながら言う。
私の役は、和也さんの娘役で、脳に、腫瘍ができてしまう。
っと言う役だ。
「ねぇ…パパ…私…死ぬの?」
泣きながら言う。
「大丈夫…大丈夫だから。」
和也さんが、私を抱きしめる。
「うん…」

撮影が、終わると恭平さんが。
「涼子ちゃん、すごいね!!俺には無理だよ~」
っと言う。
そんな、恭平さんに、翔さんが。
「お前には無理だよ~!!」
っと、言う。
「なんで?」
即答で恭平さんが、聞く。
「なんでって…涼子ちゃん、こいつね、小学生並みの棒読みなんだって!」
爆笑しながら言う。
なんとなく、巻き込まれた気が…
「お、俺だって言えるし!……」
恭平さんが、そういいながら台本をめくりさっきのシーンを捜す。
「お前には、無理だよ~」
また、翔さんが言う。
「で、できる……いくよ。な ん で、 な ん で だ よ。…ほらね!」
翔さんが、言った通り、棒読みで、読むのが遅かった。
「やっぱダメじゃん!!」
っと、翔さんがお腹を抱えて笑っている。
「そんな事ないよ!…ねぇ、どうだった?、涼子ちゃん」
答えに、迷う。
その時。
「はいはーい、終わり、涼子困ってんじゃん!」
いつもの勇作さんの、セリフ、でも言ったのは和也さんだった。
勇作さんと、竜也さんは、話に夢中でこっちに気づいていない。
「ごめんなさぁーい」
っと、恭平さんと、翔さん、二人で声を揃えて言う。