長男の発音する《ちょしょん》と《たしょん》を此処に書き表せないのが残念だ。
ヘソの奥の何かはとうとう爆発し、喉から目から手から飛び出してしまった。
爆笑する母親を、長男は不思議そうに横目でチラ見したものの、それ以上問いつめるでもなく、ニコニコと読み続ける。
その無邪気なさまこはとても愛おしい。
ほがらかなのは彼のちょしょんであり、深く考えないのは彼のたしょんである。
その日、私はとうとう正しい読み方を教えてやらなかった。
明日も彼の《ちょしょん》と《たしょん》が聞けるなら
国語の成績とテストの点などどうでも良いのだ。
《完》