また別のある日。


いつものように片手間に長男の音読を聞いていた。

小学生の宿題の定番、音読。
国語の教科書を声に出して読んで家の者に聞かせて、音読カードなるものに〇だの△だの評価を記入してもらわなければならない。

親子ともにわりと面倒くさい宿題だ。

その日も私はいつものごとく、家事をしながら長男の音読を適当に聞き流していたのだが、ふと、聞き慣れない妙な言葉が耳をかすめた。


─??


黙々と読み続ける長男に確認してみた。

─今ンとこ、も一回読んでみ?


長男は、何だ聞いていたのか、という驚きを一瞬見せたものの、ほがらかに最初から読み始めた。


─……のちょしょん…は……たしょん…でもあり、…のさまこ…は…

─??


聞き間違いだろうか。明らかに日本語では無い。

もう一度、読み返す事を促した。


─…ちょしょん……たしょん……さまこ…


─ちょしょん?
─たしょん?
─さまこ?