―パシッ・・



先輩が私の腕を掴んだ。





「・・ぇ?」




「待って。腕のところのボタン、まだあるから。」




そう言って腕のところの2個だけついてるところを見せた。


泣きそうだった。



慣れた手つきでボタンをとると、はいと私に差し出した。




「俺のをもらいにきてくれてありがとう。」



いつもの笑顔で笑った。



もういっぱいいっぱいで言葉が出なかった。




「・・っありがとうございますっ。高校でも頑張って下さいっ・・。」



それを言うと私は頭を深くさげてパッと駆け出した。




―手にはギュッとボタンを握って・・・。