「くう……まぃ…?」

頭上で心地の良い声が響きました。

その声の主は、『空苺』を、『くうまい』と、読んだのです。

ぁ…それだ…。

あたしがゆっくりと顔をあげると

そこにはあたしの机を見下ろす、

首を傾げた1人の男の子が居ました。

あたしと目が合うと、

彼は困ったように微笑みました。

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教室の隅から男の子の声。

「慎ー!ちょい来いよ!!」

「んー?あぁ、今行くー。」

ゆったりとした口調で答えた、

『慎』と呼ばれる、目の前の彼。

妙に顔の整った、彼。

その彼に、あたしは人生初の恋に落ちたのです。