「──お、誰もいないじゃん」

「基本、誰も来ないよ」

裕樹君は私の話を聞いてるのかいないのかわからないけど、その場に寝転がる。


「やっぱ、気持ちいーな」

「そーいえば裕樹君、昔から高いとこに登っては空を眺めてたね」

『空を見るのが好きなんだ』って、笑顔で言ってたっけ。


「空ってキレイな青だろ。おまけに、白い雲とか流れてて、なんか飽きないんだよな」

裕樹君は子供のような笑顔で話す。


「それ、昔も言ってたよ」

「そーいうの、変わってないみたいだな」


ホント、少年みたいな気持ちは変わってない。


「あ! あの雲、ケーキに見えない? ほら、カットされてる」

私は何等分かされてるケーキみたいな形の雲を指差す。


「……ぶっ。ケーキって」

「わ、笑わなくたって、いいじゃん!」

「いや……。そーいうとこ、全然変わってないな」

「え?」

「お前、必ず食べモンに似てるって言ってたよな」

「そーだったっけ?」

覚えてない……。


「ま、そんな理央もいーけどな」

「え……?」

なんて、言った?

そんな私もいいって言わなかった?


裕樹君を見ると、裕樹君も私を見ていた。


え?