× × ×


「裕樹君、どこの高校に言ってたの!?」

昼休み、裕樹君の周りには女子ばっかり集まってる。


「……。なぁ」

「ん?」

裕樹君は女子の群れをかき分けて、真悟君のとこに向かった。


「学校の中、案内してほしいんだけど」

「俺でいいなら、いいけど?」

真悟君もかなりのイケメンだから、いい絵になってる。


「真悟君との2ショットよ!」

また、女子が騒ぎ立てる。


「森山」

「ん、何?」

「森山も来てくれよ。昔のよしみなんだろ?」

「……うん、わかった」

「ついでに、弥生もな」

「ついでって何よ。ついでって」

私たちは一緒に、校内案内をすることをした。


「へー。森山の初恋の男なんだ?」

「なんで、裕樹君はそんなこと言うの」

「いいだろ、別に」

「よくない!」

しれっと平然と言ってのける裕樹君に、私は全力で否定する。


「まあまあ。よかったじゃん? 初恋の男がこんなイケメンでさ?」

弥生はやれやれ、と言わんばかりの顔で、私と裕樹君の間に割って入り、なだめる──かと思えば、弥生までもが私をからかう。


何?
3人して、ひどくない?


「あ。間宮と笹島さ、先に戻ってくれね?」

「ん? あ、まあ、いいけど」

突然、裕樹君は真悟君を先に教室に返すと、階段下へ向かう。

私も、後を追う。