真悟君の嘆きがいつまでも続き、ようやく遠くなったので、抑えていた笑いが一気に込み上げてきた。



「真悟君、大変だね」

「だな。俺が真悟だったら、耐えられねぇな」

「私でよかった?」

「まあ……。まだマシだな」

「マシってひどいよー」

「これでも控えめに言ったぞ」

「どうせ、めんどくさいもんね」

「そんな拗ねんなよ。んじゃ、帰るか」

「うん」



歩き出してすぐ、裕樹君がついてこないことに気がつき、振り返るとなぜかフリーズしたまま動かないでいた。


「裕樹君?」

「お前……先に行こうとするなよ」

「え?」



すっ、と差し出された左手。

それを見て、首を傾げると、私の右手を掴んで無理やり手をつなぐ形にされた。