「理央……」



何を言っているんだろう、私は。

裕樹君に言ったって、何も解決するはずがないのに……。



「理央」



ふわっ……何かに包まれたかと思えば、裕樹君の腕の中にいることに気づく。



「ひ、裕樹君……っ!?」

「ごめんな……。でも、今だけでいい。このままでいさせてくれ」

「裕樹、くん……っ」



今だけなんて、いやだ。

ずっと、このままでいたい……。


じわ、と熱くなる目。

悲しいのと、うれしいのとで、もうぐちゃぐちゃだ……。


私は裕樹君の背中に手を回し、胸に顔を預ける。



「り──」

「今だけなんて……やだよ……」

「な……」

「私……もういいの。私は裕樹君のことが好きなの……」