「今日、転校生がやってきた。まず、転校生を紹介するぞ」

先生がドアに視線を向けた瞬間に、扉が開く。


そして、転校生が入ってくると同時に、女の子の「キャー!」という黄色い悲鳴が教室に響いた。


「柿原裕樹君だ」

「よろしく」

噂の転校生が、やはり裕樹君だと判明した私はうなだれてしまった。


「あ、森山理央とは幼なじみ」

「ええっ!?」

裕樹君がわざとらしく思い出したように言うと、クラスのみんなの視線が私に集中する。


うわ、すっごく痛いんですけど……。


その視線の痛みの原因は、女子のものだろうと考えなくてもわかった。


「そ、そうか。じゃあ、せっかく森山の隣が空いてるんだ。そこでいいか?」

「はい」

裕樹君はとびっきりの笑顔を見せた。

すると、その裕樹君のスマイルに、女子がうっとりと見とれ、先生も微妙に顔が赤い気がする。


先生。
アンタ、男でしょ。


「じゃあ、授業を始めるぞ」

「よろしくな、理央」

先生の話をよそに、裕樹君は私の隣の席に着いてつぶやいた。


なんで、同じクラスなの~っ!?


このとき、私の顔から血の気が引いていったことを説明する必要はないだろう。