彼の柔らかい唇の隙間から、何かが私の唇をネットリと舐めていく。



しっ…舌…?



身体の力が抜けて宙に浮かんでるような、ふわふわした感覚に襲われる。



キモチー……


……ハッ…いかんいかん!



私は我に返り、全体重をかけ、思い切り彼を突き飛ばした。




「…ッテ」


彼は私が押した勢いで後ろにある棚に肩をぶつけ、痛そうに肩を擦っている。



「ちょっと、いきなり何するのよ!」



まだ熱を帯びた唇を大きく開け、彼に怒声を向ける。


「何って、キスだけど」



彼は何食わぬ顔で、あっけらかんと言う。