「瑠梨ぃー?早くしないと遅れるわよぉ!!」
「ちょっ、分かってるから。まだ間に合うから。おちついてよ」
お母さんに呼ばれて、私は急いで準備をした。お母さんがリビングにいないことから、もう先に車の中で待っているかも、と私は思い、さらに準備を早くして外に出た。
...しかし時すでに遅し。さっきとは対照的に鬼の形相を浮かべたお母さんが私を迎えてくれた。
「おs「ごめんなさい」
お母さんが言い終わる前に謝罪の言葉を言った私は、なんとか許してもらい、車の中に入ることができた。 それと同時にお母さんが口を開いた。
「いい?瑠梨。今の時代はお母さんたちの時代と違って、国際化が進んでるの。
ということは、これからの就職のときに英語が話せなきゃダメなの。
だから...「分かってるから。それもう何回も聞いたから。なんの拷問?」
...そう、私 宮越瑠梨は、これから英語の塾に通うところなのだ。 ...ってか就職って。いつの話だよ。私まだ中1だぞ??
そんなこと思ってる間に、ついてしまった。塾に。
「それじゃ、1時間後に迎えに来るから。がんばんなさいよー」
「はいはーい。なんとなく頑張ってきまーす」
「なんとなくはダメよう!!」お母さんの声が聞こえた気がするけど...。幻聴だよね。うん。絶対。
私は塾の扉をひらくと、受付のお姉さんに何処のクラスか聞いた。 言い忘れていたが、今日は今年度の塾の初日で、前とは教室が違うので、場所を聞かなきゃダメなのだ。 まったく、めんどくさい。グレてしまおうか...。
私の教室はBだった。私は自分の教室に行くと、まだ他の人は来ていなかったから、1人だった。椅子を出して机に突っ伏していると、ガチャ、と教室のドアが開かれ、人が入ってきた。
私は顔を半分だけあげると、相手の顔をちらっとだけ見た。男子だった。