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「はい、ちーず!」



パシャッ


そんな定番の掛け声の後には、馴染みのある機械音。
それがなんだか心地がいい。


桜が満開に咲き誇る並木道沿い、大きくそびえる校舎。
正門では笑顔の花を咲かせた新入生がたむろしている。
真新しい制服を完全には着こなせていない彼等はどこか初々しい。



「私立だからやっぱでかいなー」


そしてこの春色ムードに人一倍マッチしている少年が一人。


口の中で含んでいる飴をコロコロと転がし、門のど真ん中でたたずむ。
決して大きくない、むしろ同年代から見れば小さい部類に入るであろうその体にはサイズ感の皆無なエナメルバック。


「きっと体育館もすごいんだろうな!」


期待に満ちたその表情にはただ“希望”だけが滲み出ていた。


「おい陽!もたもたしてると先に行くぞ」


「あ、ちょっと待ってよ!」


そう叫んで太陽のような少年は駆け出した。