「僕の友人に……なんていうかその……軽業師、みたいなのがいるんだ。ほんの一瞬で誰にも気づかれずにプレートを交換できる」

「へえ……それはすごいですね」

 智先輩の交友関係は、謎に包まれている。

 さっき一緒だったのは普通の男子生徒だったから、クラスメートとも上手くやっているらしい。

 これまでにも、下級生や先生、老若男女問わず色々な人と一緒にいるところを目撃した。

 学校ではいつも寝ていそうな智先輩だったが、その実かなりの数の人と付き合いがある。

 だから軽業師なんて奇妙な人と知り合いでも、そんなに不思議ではなかった。

「ついでにその軽業師、占い師みたいなものでもあってね。朝からずっとそのプレートがかかっていたと人々に信じ込ませることもできるんだよ」

「それは……すごいです」

 ――前言撤回。

 智先輩も智先輩の交友関係も、やっぱりかなり不思議だ。

「今からその人を呼んでくるよ」

 智先輩は軽く言って立ち上がった。

「一つだけ、お願いを聞いてもらえるように頼んでおく」

「え? あ、はい」

「だから何をお願いするか、考えておいて」