感動して、勇気をもらって。

 私も同じように人の心に残る絵を描きたいと思った。

「有名になるためじゃ、ないですよね」

 最後の望みをかけて聞くけれど、答えは返ってこない。

 アスカ先輩は友達を引きつれてその場を去ってしまった。

(……ウザかったんだ。私って)

 もう、何もかもがどうでもいい。

 憧れていた太陽が急にくすんで、黒く潰れた。

 私にはもう、何を目指して歩いていけばいいのか分からない。

 私なんかの絵に自分の名を冠して平気でいられるアスカ先輩なんて、見たくなかった。

 私の憧れのまま……輝く太陽のままでいて欲しかった。

 スランプならスランプで、堂々としていればいい。

 ほんの短い期間作品を描けなかったくらいで、誰もアスカ先輩の価値を疑ったりなんかしないだろう。

 自分も、先生も、アスカ先輩も。何もかもが嫌だった。

(どこに行っちゃったんだろ、真由)

 ぼやけた視界のままでフラフラと歩く。

 不意打ちの衝撃が走って、真正面から誰かとぶつかってしまった。