大鳥が率いる隊が守る松前口が落とされた。



二股口を守る美桜里達も翌日、五稜郭に退いた。



そして、新政府軍は箱館に進入して来た。



五月十一日。



「まったく…、あの時のあれは何だったんだ?」



美桜里は外に出て、あの時のことを考えていた。



あの時、土方は私に何をしようてしていたんだ?



もし、あの時、兵士が来なかったら、私は土方に何をされていたんだ?



美桜里は何となく見当がついて、顔に熱を持った。



「あぁー、駄目だ!笛でも吹こう!」



美桜里は気を紛らわすため笛を寝間着の袂から取り出すと、笛を吹いた。