「美桜里、お前はもう少ししてから来い」
美桜里は下を俯いたまま、小さく頷いた。
気のせいかもしれないが、美桜里の顔が赤かったように見えた。
土方は美桜里をその場に残し、兵士達の元に戻った。
「危なかったぜ…」
もし、兵士が来なかったら、土方はあのまま美桜里に口付けていた。
嬉しいんだか、哀しいんだが分からなかった。
しかし、今のでただ一つ分かったことがある。
俺は――。
「美桜里が好きだ」
笑顔が無邪気な所も強がりな所も、その中にある弱い所も…、彼女のすべてが愛おしい。
この想いが届くか分からない。
もし、届かなくても、俺はアイツの幸せを願ってる。
土方はそんなことを胸に抱きながら、兵士達の元へ急いだ――。