その頃、美桜里はというと――。
「永倉の奴…。今度、何か奢らせてやる」
美桜里は境内で団子を食べながら、一人でグチグチと愚痴を言っていた。
すると、境内の床が軋んだ。
――誰か来たのか?
そう思い、美桜里は音がした方を見た。
「何、一人で愚痴を言ってるの?」
「なんだ、沖田か。寝ていなくて良いのか?」
そこにいたのは沖田だった。
最近、彼は風邪を拗らせ、部屋に篭っていた。
「大丈夫だよ。さっきの新八さんの悲鳴、何があったの?」
「私が個室で健康診断を受けてたら、永倉が覗いてたんだよ。だから、ボコった」
「…馬鹿だね、新八さん」
沖田は永倉を勇者と讃えつつ、そんな行動を起こしたことを憐れんだ。
そして、彼の無事を祈り、合掌した。