「暑いに決まっているだろう。しかし、【心頭を滅却すれば火もまた涼し】と言うだ…」




「はいはい、一君の言いたいことは分かったよ」




人に聞いておいて言葉を遮った彼に対し、青年は不愉快そうに眉をひそめた。



ふと、少し前を歩いていた男が足を止めた。



「どうしたんですか、土方さん?」




背の高い青年が前を歩く男に声をかけた、その瞬間――。