……はい?
「…何言ってんの?
キミはずっと俺のこと嫌ってたじゃん」
そうだよ。
中学ん時、ずっと俺のこと嫌そうな顔で見てたじゃん。
それなのに、なんで「好き」になるんだよ?
『…嫌ってません』
「……嘘言うなよ」
『嘘じゃありません』
……なんだよ、それ。
毎日嫌そうな顔して、早く行けってうるさく言ってたのに、それなのに「好き」?
「…馬鹿じゃねーの」
そんな風に冷たく言い、電話を切る。
“私、桜庭先輩のことが好きですから。”
…なんで、そう言うんだよ。
なんで“俺”なんだよ。
“朔也さんと私の関係を、勘違いして欲しくないんです。”
……朔ちゃんと一緒の方が、幸せになれるだろ。
「……馬鹿じゃねーの」
…同じ言葉を繰り返し、ビルの間から見える僅かな空をそっと静かに見つめた。