…なんだか、嵐が去った気分。
一気に静かになった。
涼の友達って、みんなあんな感じなのかな….?
それとも涼が特殊で、18歳男子なら普通あんな感じなのかな?
分からない…
.男の子って、私にとって未知の生き物だから……
「あっ、あいつらコレ….」
涼が隣で声を上げた。
手には何やら茶色い袋を持っている。
さっき、あの子たちが涼に半ば無理やり渡していたものだ。
「なに?それ。CD?」
私は何気なく聞いた。
だけど涼は慌てて、その袋を自分の後ろに隠すように持った。
「な、何でもねぇよ。咲には関係ない」
……なっ?!
その言い方に、カチンときた。
“俺の女”って言っておいて、関係ないってなに?!
私が睨むと、涼がバツ悪そうにうつむく。
「DVDだよ、映画の…。レポートの教材用の、70年代サイレント映画。
咲が観たら、絶対3秒で寝るようなやつ」
「…ふーん、そう」
「お前、信じてねぇだろ」
「だって私には、関係ないんでしょ?」
「な、咲てめえ….」
…結局いつもの、他愛ない口げんか。
さっきまで私たちの間に流れてた、ピンクの空気はどこへやら。
…ま、別に良いんですけどねっ。
涼と私は、家がお向かいの幼なじみ。
私は今年24歳になる社会人で、涼はこの春大学生になったばかり。
私の方が、涼より5歳お姉ちゃんだ。